C級商品の販売を重視するドンキホーテ

ドンキホーテの代表取締役である大原孝治は、繁盛店には気があるといいます。気とはその店独自の品ぞろえと価格が渾然一体となって、お客の購買意欲を刺激するオーラのようなものだとも。いくら本部がしっかりしていてもこの気だけは、チェーン企業には出せないと大原孝治は断言します。さらにプロが見てなぜこの価格で売れるのかという仕入れの秘密が多ければ多いほど、その店は魅力的だし実際大繁盛店である場合が多いとも言います。確かにそうした品ぞろえをしようと思えば、現場が権限を持ち常に柔軟なスポット商品を手配するという、同社独自の体制とシステムに行きつかざるを得ません。

ドンキホーテの仕入れのセオリーの中には、C級商品を価格や演出でA級商品に転換できる柔軟な発想を持っていることという条項があります。どういうことかというと、ドンキホーテ大原孝治社長が言うC級とは明らかに品質や機能が劣るようないわゆる安かろう悪かろう的なものではなく、無名だが中身はしっかりした価値あるものを指しています。C級商品は例えば家電のOEM製品の下請けメーカーが製造したものなどを想起すれば、わかりやすいでしょう。これらは有名メーカー商品と全く同じ性能を持ちながら、ブランドや知名度がないため安くしてもなかなか売れません。お客にその情報がないためです。小売店にしてみればA級商品のほうが売りやすいに決まっています。商品を置くこと自体で需要が喚起され、ほおっておいても売り上げが稼げます。しかしドンキホーテでは、売りにくいC級商品の販売を重視しています。

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